ブランド戦略通信 │トライベック・ブランド戦略研究所

IT企業のブランド戦略

第11回:環境ブランディング−リコーのブランド戦略

BtoB企業であるリコーはテレビCMを盛んに行って露出するような会社ではない。にもかかわらず、環境経営というキーワードとリコーを結びつけてイメージする人は少なくない。

環境というテーマは以前は決してメジャーなテーマではなかった。こういっては何だが、どちらかといえば環境オタクのためのテーマだった。

その中で、リコーは最近のように環境問題への注目が高まる以前から環境問題に意欲的に取り組んできた。

その取り組みの歴史は古い。1978年には環境推進室を設立し、1980年代からリサイクル問題に取り組んできた。

その成果が1998年の日本経済新聞社による「環境経営度調査」でトップにランクされるという形で現れた。以来、同社はこの調査や、それ以外の環境関連のランキングでも、上位の常連企業としての地位を維持してきた。

実際には、多くの人にとって、リコーの活動に直接的にに触れる機会はそれほど多いものではない。

しかし、環境経営度調査などの第三者評価の結果を眼にする人は決して少なくない。これは、評価結果の多くが、ビジネスパーソンの読者が多い日本経済新聞で大きく取り上げられていることと関係している。BtoB企業の同社にとって、ビジネスパーソンから見たブランドイメージが高まることで、ビジネス上のメリットも少なからずあるのではないか。

もっとも、同社の環境への取り組みはビジネス上のメリットを訴求することを目的とするようなものでは決してない。

むしろ、地球環境への取り組みは企業市民としての自分たちの使命と考え、「コメットサークル」という独自の世界観の下に循環型社会の実現に真摯に取り組んできたということが最も本質的な部分である。

その背景にはトップの強い支援があったことは想像に難くない。収益に直接寄与することが期待しにくい環境活動に超長期的ビジョン(2050年までに事業活動全体の環境負荷を絶対値で1/8に削減するのビジョンを描いている)を持って地道に続けるということは並大抵のことではない。

メジャーになる前から取り組み独自のポジションを確立したこと、先進的な取り組みを継続していること、そして第三者評価、これらが相乗してリコーのブランド力は非常に高められていると思う。

※本コラムは、2006年11月〜2007年4月にかけて「japan.internet.com」に掲載された内容に加筆・修正したものです。

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